皆さん、こんにちは!
先日は茶道の「三千家」のそれぞれの流派の成り立ちを説明しましたので、今回はそれぞれの流派の作法について詳しくお話します。
流派が違うので、もちろん作法にも違いがあります。
表千家の作法の特徴は?
ではまず、「表千家」の作法です。
この流派は祖である宗左が、利休の茶道を正統に次ぐものとして始めたので、千家の古くからの作法を忠実に守ってきた流派です。
『表』というと華やかなイメージがありますよね? ですが、実際は逆なんです。
使う道具や仕草は質素で、華やかさはありませんが、わびさびの心一番感じる事ができます。
表千家の作法の特徴を以下のようにまとまめました。
抹茶の立て方⇒ あまり泡立てない
菓子器⇒ 菓子を見せない蓋つきの器
所作⇒ 畳を左足から6歩で歩く
お辞儀⇒ 両手を八の地に開き着いたら、30度位の角度でお辞儀
男性は両手を20cm位開け、女性は7~8cm位開けるのが基本
正座⇒ 男性は安定する広さに両膝を開け、女性はこぶし1個分位開けて座る
帛紗(ふくさ) ⇒ 男性は無地の紫色、女性は無地の朱色
裏千家の作法の特徴は?
学校の茶道クラブで一番多く取り入れられており、「三千家」の中で最大の茶道人口を誇る流派です。
14代淡々斎碩叟が茶道の学校教育への導入を働きかけた結果、学校のクラブ活動で教えられる茶道の大半は裏千家となっています。
そして淡々斎はまた各地の寺院・神社にて献茶・供茶を行ったり、海外への普及に取り組んだりと、積極的に働きかけました。
『裏』という名前とは裏腹に、表千家に較べるとその所作や道具は華やかなのが特徴です。
裏千家の特徴を以下のようにまとまめました。
抹茶の立て方⇒ よく泡立てるので、ふわりとしている
菓子器屋⇒ 菓子を見せる蓋なしの鉢
所作⇒ 1畳を右足から4歩で歩く
お辞儀⇒ 3種類の礼を使い分ける
お腹が膝に着くほど丁寧な『真』、
前に体をかがめる位の『行』、
手をついて軽くお辞儀をする程度の『草』
正座⇒ 男性はこぶし2個分、女性はこぶし1個分開けて座る
帛紗(ふくさ)⇒ 男性は無地の紫色、女性は無地の赤色
武者小路千家の作法の特徴は?
この流派の特徴は『合理的な動き』です。
武者小路千家の茶室は何度も消失、建て替えを繰り返しています。
その度に、それまでの茶室の無駄を無くしてきたことから、必要のない所作を極限にまで省いた経緯があります。
武者小路千家の特徴は以下のとおりです。
抹茶の立て方⇒ あまり泡立てない
菓子器⇒ 菓子を見せない蓋つきの器
所作⇒ 柱側の足から1畳を6歩で歩く
お辞儀⇒ 男女とも左手が前になるよう膝の前で軽く合わせ、指先を膝前の畳に軽く付けて背筋を伸ばしてお辞儀する
正座⇒ 男性はこぶし1個分、女性は膝を開かずに正座する
帛紗(ふくさ)⇒ 男性は無地の紫色、女性は無地の朱色
これを読んで下さった方で、気づいた方もいらっしゃるかもしれません。
これを見ると表千家と武者小路千家が似ている事が分かりませんか?
この2つが細かい所まで重視しているのに対し、裏千家は明治時代に外国人向けの椅子に座る点前を考える等、積極的に新しい事に挑戦してきました。
ここで皆さんに一つ、注意点があります。
それは、『一度習った流派は変えない!』です。
これは茶道の中で一番してはいけないルールで、ご法度です。
もし、どうしても変えなければならない理由(引っ越し先に習っていた流派が無かった、海外赴任になり裏千家しかなかったなど)を除いては一度最初に習った流派を変える事は重大なマナー違反になりますので、注意してください。
どうしても、流派を変えたい場合は、一度習っている先生に相談するのがいいでしょう。
※実際、私の先生の所でも、習いに来ている生徒さんが引越した先に武者小路千家がなく、表千家しかなかったので、その人は先生に変えてもいいいかを聞いていました。
ですので、これから茶道を習おうと考えてる方は、色んな流派を見に行かれる事をオススメします。
今回の記事でご紹介したように、三千家それぞれに特徴があり、また雰囲気も違います。
そして、お月謝もそれぞれ違いはありますので、決まる際には「払い続けらる月謝か」「通いやすい場所にあるか」「どの流派の作法を学びたいか」「先生・生徒さんの雰囲気が自分に合っているか」などを基準にして、選ぶのいいでしょう。
まとめ
今回は「三千家」のそれぞれの流派の特徴について、ご紹介しました。
いかがでしたでしょうか?
いっけん、似ているように感じますが、実はきちんと違いがあったのです
※ 表千家と武者小路千家は似ている部分はありますが・・。
茶道には「三千家」だけでなく、様々な流派があります。
茶会に行った時にこれらの事を知っているだけで、その人がどの流派かが分かりますし、「自分が知ってるのと違う」と焦らずに済みます。
流派の数だけ作法にも違いがありますので、是非その違いも楽しんで下さいね。
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